会社や居酒屋に、どこにでもいそうな人たちがいる。東京03のコントは、そんな見慣れた景色から始まることが多い。

そこで起こるのも、現実離れした大事件ではない。小さな出来事をきっかけに気持ちがすれ違い、いさかいになる。その細かな変化を、角田晃広・豊本明長・飯塚悟志の3人が大きな笑いへ育てていく。

何が起きるかだけでなく、その時、人がどう振る舞うか。そこに東京03の面白さがある。

日常の小さな行き違いが、笑いになる

舞台になるのは、会社や居酒屋。登場するのは、普通の会社員たち。設定だけを聞くと、東京03のコントは地味に思えるかもしれない。

けれど、ありふれた場所にも人の気持ちはいくつもある。小さな事件が起こると、それまで見えなかったずれが表に出る。言葉を交わすうちに、すれ違いが大きくなっていく。

現実でも起こりそうだから、登場人物の気持ちが分かる。それなのに、やり取りを見ていると笑ってしまう。日常を飛び越えず、その中にある人間くささを掘り出すのが、東京03のコントだ。

角田の爆発力、豊本のつかめなさ、飯塚のひと言

その笑いの起点になるのが、角田晃広だ。

特別なギャグではない。普通のことを大声で言っているだけなのに、なぜか面白い。細かな人間心理の中にある笑いを、大きな芝居で膨らませる。小さな行き違いがひと騒動になる時、角田の爆発力が効いてくる。

一方、豊本明長には、何を考えているのかつかめない不思議な存在感がある。角田とは違う角度から笑いを生み、3人のやり取りに幅を持たせる。

そして飯塚悟志。角田とともにネタを作る司令塔であり、簡潔な言葉を力強く放つツッコミが持ち味だ。角田の大きな芝居も、豊本のつかみどころのなさも、それぞれのままで面白い。その中に飯塚のひと言が入る。

3人とも同じ種類の面白さではない。だからこそ、ごく普通の会話にも笑いがいくつも生まれる。

東京03の3人を囲む飲み会のイラストを使った、第21回単独公演『人間味風』のDVDジャケット。

第21回単独公演『人間味風』のDVDジャケット。

優勝の先にあった「コントで食っていく」道

飯塚と豊本は、もともと「アルファルファ」というコンビで活動していた。苦戦していた2人に角田が加わり、東京03の笑いに爆発力が生まれる。2009年には『キングオブコント』で優勝を果たした。

その後の歩みにも、東京03らしさがある。優勝後もライブに軸足を置き、単独公演を積み重ねてきたのだ。

単独ライブの規模は広がり、全国のホールを回るツアーへと発展した。ネタ番組に加え、CMやドラマへの出演も、活動の幅を広げた。

コントを作り、全国で演じ、それを仕事として続ける。この「コントで食っていく」道も、ネタの面白さと並ぶ東京03の魅力だ。

スーツ姿の東京03を上から捉えた写真を使った、第18回単独公演『明日の風に吹かれないで』のDVDジャケット。

第18回単独公演『明日の風に吹かれないで』のDVDジャケット。

東京03のコントを見る時は、大きな展開だけでなく、すれ違いが始まる小さな瞬間にも目を向けたい。ありふれた場所にいる普通の人が、急に目を離せない人になる。その変わり目に、3人の面白さが詰まっている。